セラミック工具とは
切削工具材料におけるセラミックは、「超硬よりも硬く(耐熱性が高く)、CBNよりも靭性がある(粘り強い)」位置づけ。超硬では摩耗が早すぎるものの、CBNではコストが高すぎるという加工において、費用対効果に優れた選択肢。

引用:ココミテVol.3【トラスコ】
セラミック工具のメリット(超硬工具との比較)
セラミック工具の最大の特徴は耐熱性(高温硬度)の高さ。
超硬工具は、摩擦熱が約800℃に達すると柔らかくなり、摩耗が急激に進んでしまう。一方、セラミック工具は800℃を超える高温下でも高い硬度を維持できるため、より高い切削速度(高速加工)が可能。その結果、加工時間を大幅に短縮(高能率化)できることが最大のメリット。

引用:超硬合金とセラミックの高温硬さ【三菱マテリアル】
セラミック工具のデメリット(超硬工具との比較)
セラミック工具の弱点は、「靭性(粘り強さ)の低さ」。超硬工具に比べて衝撃に脆いため、刃先に断続的な負荷がかかる断続加工や、チャッキングが不安定で振動(びびり)が発生しやすいワークの加工には向いていない。
また、対応できる被削材が限定される点もデメリット。特にチタン合金やアルミ合金には全く不向き。鋳鉄、焼入れ鋼(高硬度材)、耐熱合金といった特定の被削材・加工条件にのみ威力を発揮する。
切削工具に用いられるセラミックスの種類

主成分:酸化アルミニウム(Al2O3/通称アルミナ)
用途:高硬度材(焼入れ鋼)、鋳鉄の加工
特徴: 化学的安定性が非常に高く、鉄と溶着しにくいため美しい仕上げ面が得られる。
高硬度材(焼入れ鋼)や鋳鉄の加工において、アルミナ系セラミックは超硬工具よりも高い耐熱性を活かし、高能率・高寿命な加工が可能。
より硬度の高いCBN工具と比較すると、寿命や断続加工への対応力は劣るものの、CBNに比べて大幅に安価なため、工具の初期費用を抑えたい場合に選択される。

主成分:窒化ケイ素(Si3N4)
用途:耐熱合金(インコネル等)、鋳鉄の加工
特徴:アルミナ系に比べて靭性(粘り強さ)と耐熱衝撃性に優れており、割れにくく、切削油を使用した加工(湿式)にも対応できる。進化型である「SiAlON(サイアロン)」もこのグループに含まれる。
火花を散らすほどの高温状態(800℃以上)になりながらも、刃先が軟化することなく超高速で削り進めることができる圧倒的な耐熱性がセラミック工具の最大の特徴。
CBNも同等以上の性能を持つが、工具の摩耗が激しい耐熱合金(インコネル等)の荒加工においては、コストパフォーマンスの良さからCBNよりもセラミック工具が多く選択される。
セラミック工具メーカー
NTKカッティングツールズ株式会社
旧「日本特殊陶業」の機械工具事業部であり、セラミック切削工具の分野において世界トップクラスの技術力とシェアを誇る。
主要製品(セラミック):旋削インサート、転削インサート、セラミックエンドミル
HP:https://www.ntkcuttingtools.com/jp/
三菱マテリアル株式会社【5711】
主要製品(セラミック):旋削インサート、転削インサート、セラミックエンドミル
HP:https://www.mmc-carbide.com/jp/
住友電工ハードメタル株式会社【非上場】
主要製品(セラミック):旋削インサート
HP:https://www.sumitool.com/
京セラ株式会社【6971】
主要製品(セラミック):旋削インサート、転削インサート
HP:https://www.kyocera.co.jp/prdct/tool/index.html
株式会社タンガロイ【非上場】
主要製品(セラミック):旋削インサート、転削インサート
HP:https://subs.tungaloy.com/jp/
オーエスジー株式会社【6136】
主要製品(セラミック):セラミックエンドミル
HP:https://www.osg.co.jp/