複合加工機とは

複合加工機とは?

複合加工機とは、「回転工具主軸,連続割出し可能な工作主軸,及び工具マガジンを備え,工具を自動的に交換する機能をもち,工作物の段取り替えなしに,旋削,フライス削り,中ぐり,穴あけ,ねじ切り,ホブ加工などの複数の加工が行える数値制御工作機械。」と定義される。(JISB0105:2012 工作機械―名称に関する用語

ターニングセンター、マシニングセンターとの違い

「ターニングセンター」とは「回転工具主軸,割出し可能な工作主軸,及びタレット又は工具マガジンを備え,加工プログラムに従って工具を自動交換できる数値制御工作機械。」
「マシニングセンター」とは「主として回転工具を使用し,フライス削り,中ぐり,穴あけ及びねじ立てを含む複数の切削加工ができ,かつ,加工プログラムに従って工具を自動交換できる数値制御工作機械。

つまり
「NC旋盤+ATC=ターニングセンター」
「NCフライス+ATC=マシニングセンター」
「NC旋盤+NCフライス+ATC=複合加工機」
である。
※「複合加工機=ターニングセンター」と説明されることがあるが誤用。

複合加工機とメーカー

複合加工機は大きく2種類に分けられる。
①NC旋盤がベースの複合加工機(旋盤型)
②マシニングセンターがベースの複合加工機(マシニング型)

①複合加工機(旋盤型)

INTEGREX【ヤマザキマザック】
NTX【DMG森精機】
MULTUS【オークマ】
JX-200【中村留精密工業】

②複合加工機(マシニング型)

CUBLEX【松浦機械製作所】
SPEEDIOマルチタスクマシン【ブラザー工業】

参考リンク

複合加工機とは?【ブラザー】
複合加工機とは?【中村留】
複合加工機導入ガイド ~カッタン~

モジュラー工具とは

モジュラー工具とは

刃先交換式工具は主軸への取り付け方法によって「シャンクタイプ」、「モジュラータイプ」「ボアタイプ」に分類される。
「モジュラータイプ」のほか「スクリュー」「ねじ止め式」「ねじ込み式」とも呼ばれる。

互換性

結合部(ネジサイズとインロー径)が同一であれば、各社メーカーのホルダーとヘッドには互換性がある。

モジュラー工具のメリット

・ホルダーとの組み合わせで高い切削性能を発揮できる
・ホルダー/ヘッドの共通化で工具の集約

短い突出し長さでビビリ低減

モジュラータイプのホルダーと組み合わせることで、シャンクタイプに比べ、同じ突出し長さにもかかわらず、刃先からゲージラインまでの距離が短い。ビビリが低減出来るため、高速M/C(BT30/BT40等)でも高能率・高品位加工が可能。

参考:モジュラーエンドミル【京セラ】

突出しが長い加工においても安定した加工

スチール製のシャンクタイプと比べ、超硬製の高剛性ホルダーとの組み合わせで、工具突出しが長くなる深い立ち壁加工においても、ビビリのない安定した加工を実現。

参考:レッドスクリューアーバ【MST】

各メーカー製品の特徴(ホルダー)

スクリュオンホルダ【大昭和精機】



ラインナップ

規格:BBT/HSK_A
ねじサイズ:M8/M10/M12/M16

リンク

→製品情報詳細【カタログ】

レッドスクリューアーバ【MST】

ラインナップ

規格:BT/HSK_A
ねじサイズ:M8/M10/M12/M16

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→製品情報詳細【カタログ】

メジャードリームプロエンドミル【日研工作所】

ラインナップ

規格:NBT/HSK_A
ねじサイズ:M8/M10/M12/M16

リンク

→製品情報詳細【カタログ】

超硬シャンクアーバ頑固一徹【ダイジェット工業】

ラインナップ

規格:エンドミルシャンク(φ10~φ32)/BT/HSK_A
ねじサイズ:M6/M8/M10/M12/M16

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→製品情報詳細【カタログ】

モジュラーエンドミル【京セラ】

ラインナップ

規格:BBT
ねじサイズ:M8/M10/M12/M16

リンク

→製品情報詳細【カタログ】

不等分割・不等リードエンドミルとは

不等分割・不等リードエンドミルとは

不等リード・不等分割とは、刃のリード角(ねじれ角)と刃の分割配置を不等にして、防振効果を高めたエンドミル。防振エンドミルとも呼ばれ、ビビリ対策として採用される。

不等分割・不等リードエンドミルのメリット

・不等分割:底刃の分割を不等にすることで、振動の位相をずらし周期性を打ち消す。4枚刃の不等刃が一般的(2枚刃や3枚刃の場合は、不等刃にしてしまうと左右のバランスが悪くなってしまい、高速で回転させたときに、振れが出てしまう場合がある)。
・不等リード:同一エンドミルの各切れ刃のねじれ角度を変化させることにより、振動の位相をずらしビビリ振動の抑制が期待できる。

不等分割・不等リードエンドミルのデメリット

・チップポケット(溝)が通常の等刃より小さい箇所があるため、切り屑排出が悪い。
・通常のエンドミルに比べて再研磨に手間がかかる(再研磨価格が高い)。

参考動画

参考リンク

不等リード 不等分割のメリット【ミスミ】
不等刃と不等リードはどう違うの?再研磨屋が解説【ツールリメイク】
不等分割エンドミルと不等リードエンドミルの違いとは?【再研磨.COM】
XALシリーズ【ミスミ】

「タテガタ」「ヨコガタ」漢字表記の正解は?【雑学】

マシニングセンター「タテガタ」「ヨコガタ」漢字表記の正解は「立形」「横形」。

JISB0105:2012 工作機械―名称に関する用語には、マシニングセンタを「主として回転工具を使用し,フライス削り,中ぐり,穴あけ及びねじ立てを含む複数の切削加工ができ,かつ,加工プログラムに従って工具を自動交換できる数値制御工作機械。注記機械の構造によって,主軸が水平の横形,及び垂直の立て形がある。 」と定義している。
工作機械大手のマザック、DMG、オークマのHPの表記も「立形マシニングセンタ」、「横型マシニングセンタ」。
※立型、縦形、縦型、竪形、竪型、横型、は誤り。

転造タップとは

転造タップとは

転造タップとは、めねじを加工する工具。
切削タップに対して「非切削タップ」、転造(rolling)から「ロールタップ」、塑性加工であることから「盛上げタップ」、切りくず排出用の溝が不要なことから「溝なしタップ」とも呼ばれる。

転造タップのメリット

・切りくずが発生しない(切りくずトラブルがない)。特に切りくずが伸びやすいSS材、SUS材、アルミ材に有効。
・心厚が大きいため折れにくい。特に折損トラブルの多い小径タップでメリット大きい。
・刃欠けしないため長寿命(切削タップの2~3倍)
・高速加工が可能で加工時間が短縮
・めねじの表面粗さが良好
・めねじ強度が高い

転造タップのデメリット

・切削タップと比較して加工トルクが2~3倍。機械の馬力が必要。
・被加工材は展延性のある材料限定。炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム等が適する。鋳鉄、HRC40以上の高硬度鋼は適さない。
・切削タップと比較してシビアな下穴径管理が必要。例えばM6×1のロールタップ加工では、公差±0.025mm程度の下穴管理が求められる(切削タップの場合は、公差±0.1mm程度)。
・切削タップと比較して端面のかえりが大きい。タップ加工前に面取りが必要。

転造タップの下穴径

転造タップの形状や被加工材によってねじの盛り上がり方が異なるため、各メーカーで推奨の下穴径が異なる。
下穴径一覧表【OSG】
転造タップの下穴径表【田野井】
下穴径・素材径表【YAMAWA】
総合カタログ【不二越】

切削タップ、転造タップ、スレッドミルの使い分け

めねじ加工する工具の使い分け。
切削タップが最も一般的で汎用的。
転造タップは切りくずトラブルへの対策に有効。
スレッドミルは加工負荷が低いため、高硬度材加工や太径加工に有効。

解説動画

ロールタップとは【YAMAWA】

タップにありがちな悩みは転造タップで解決!【なんとか重工】

ブラザー「S1000X1」でM3(SUS304)、M8(SS400)、M12(S50C)を転造タップ加工。

ロールタップでいろいろな材質にタップをたててみました【drill brothers】

ボール盤でM8(鉄、アルミ、真鍮、ステンレス)を転造タップ加工。

各メーカー製品の特徴

A-XPF【OSG】

ラインナップ

M1~M24

特長

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→製品情報詳細【カタログ】

TC-W-TF【田野井】

ラインナップ

M3~M12

特長

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→製品情報詳細【カタログ】

ロールタップシリーズ【YAMAWA】

ラインナップ

M1~M20

特長

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→製品情報詳細【カタログ】

盛上げタップ【不二越】

ラインナップ

M3~M16

特長

形状はねじ山盛上げ部にマージンレスを採用。接触面積が小さく摩擦抵抗が低減。油溝形状ZTフルートにより、横形マシニングセンタでも高い潤滑性能を発揮。

リンク

→製品情報詳細【カタログ】

転造タップの下穴加工

高精度な下穴を加工するには、ハイスドリルよりも高精度な超硬ドリル(バニシング刃付など)が適している。

ロールタップ下穴用ストライクドリル【ダイジェット工業】

ラインナップ

M1~M12下穴用

特徴

外径精度0/-0.01

リンク

→製品情報詳細【カタログ】

転造タップ用NVドリル【ニチアロイ】

ラインナップ

M1.4~M12下穴用

特徴

NV段付き(面取り刃付)
加工精度 1級ネジ下穴用
高精度で安定した下穴加工
面取りも同時加工
寸法:M1.4~M12用

リンク

→製品情報詳細【カタログ】

転造タップの面取り加工

転造タップのデメリットとして端面のかえりが大きいため、かえりの発生を防ぐためにはタップ加工前に面取り(60°が最適)が必要。

参考
技術の玉手箱 / 溝なしタップの面取り【OSG】
ロールタップ加工めねじ入口のかえり・ばり対策【YAMAWA】

参考リンク

ロールタップの特長と留意点【YAMAWA】
ロールタップの使用法-1【YAMAWA】
ロールタップの使用法-2【YAMAWA】
ロールタップの使用法-3【YAMAWA】
ロールタップで折損解決【YAMAWA】
ロールタップの下穴径算出について【YAMAWA】
転造タップとは【OSG】
盛上げタップ(非切削タップ)【モノタロウ】
転造タップ採用におけるコストダウンの可能性について【三栄製作所】
タフレットシリーズ特徴【不二越】
転造タップ(転造タップ)の加工手順【OSG】
[切削工具]スレッドミルとは?タップ加工との違いを解説【生産技術の森】