スタブとショートの違い

切削工具のL/D比による呼び方

ドリルやエンドミルはL/D(工具径に対する加工可能長)によってショートタイプ、ロングタイプ等と呼称される。
この呼称に厳密な基準はなく、各メーカーによって分類基準が異なる。

スタブ(Stub)とショート(Short)の違い

両方とも短い工具を指す。
スタブ(Stub)は「切り株」の意味。短くて太い形状を指す。
ショート(Short)単に「短い」ドリルを指す。

ドリルのL/D比による呼び方

呼び方 L/D比の目安 特徴・用途
スタブ(Stub) 約1.5D 刃長が短く剛性が高い。浅穴加工や高精度加工に最適。
ショート(Short) 約2D スタブよりやや長く、汎用性が高い。浅穴加工に適する。
レギュラー(Regular) 約3~5D 一般的な汎用ドリル。標準的な穴あけ加工に使用される。
ロング(Long) 約5~10D 深穴加工に対応。切りくず排出や冷却が課題になる。
エキストラロング(Extra Long) 10D以上 超深穴加工向け。ガンドリルなどが該当。高精度・高剛性設計が必要。

エンドミルのL/D比による呼び方

呼び方 刃長の目安(工具径Dに対して) 特徴・用途
スタブ(Stub) 約1.5D 非常に短く剛性が高い。高精度・荒加工向き。
ショート(Short) 約2D スタブより長く、汎用性が高い。浅めの加工に適する。
レギュラー(Regular) 約3D 標準的な長さ。多くの加工に対応。
ロング(Long) 約4D 深い溝加工や側面加工に対応。剛性はやや低め。
エキストラロング(Extra Long) 約5D以上 非常に深い加工用。びびり対策が必要。

参考リンク

ショート?スタブ?ロング?刃長によるエンドミルの違い【ツールリメイク】

アンダーシャンク工具とは

アンダーシャンク工具とは

アンダーシャンク工具とは、工具径よりもシャンク径が細く設計された切削工具。加工の自由度を高めたり、干渉を避けたりするために使われる構造。「逆段」、「スリムシャンク」、「頭でっかち」、「Reduced Shank(英語圏)」とも呼ばれる。

シャンク径と工具径の関係性のパターン

パターン 特徴 用途例
工具径 = シャンク径
(同径シャンク)
工具径とシャンク径が同じ。保持が簡単で汎用性が高い。 一般的なエンドミル、リーマ
工具径 < シャンク径
(オーバーシャンク)
シャンク径が工具径より太い。剛性が高く、びびりを抑制。 高精度加工、長突き出し
工具径 > シャンク径
(アンダーシャンク)
シャンク径が工具径より細い。干渉回避や深部加工に有効。 金型の立ち壁加工、微細部品加工

アンダーシャンクのメリット

立ち壁加工に最適
壁面に近づいてもシャンクが干渉しないため、垂直面の加工が可能。

シャンク長の変更が容易
突出し長さは必要な絶対最小値に最適化することが重要。ストレートアンダーシャンクはシャンク長を簡単に変更することができる。

アルミ加工との相性良い
アルミ部品は深いポケット形状や立ち壁構造が多いためシャンクを細くして干渉を避ける必要がある。またアルミは切削抵抗が低く、細いシャンクでも剛性が保てるため、アンダーシャンク設計が成立しやすい。

アンダーシャンクのデメリット

剛性が低くなる
シャンク径が細いため、びびり振動が出やすく、切削条件の最適化が必要。
保持力が低下しやすい
シャンク径が細いため、チャックとの接触面積が減り、工具の抜けや振れのリスクが高まる。
標準チャックに合わない
φ4やφ5.5などの非標準径の場合は、汎用チャックで保持できず、専用コレットやアダプタが必要になる。

参考リンク

切削加工の壁【OSG】
ステップ切削とは エンドミル加工 立ち壁加工【OSG】
iMX超硬ホルダの使い分け【三菱】
側面加工時に工具干渉を起こさない方法【ミスミ】
チャックの選択【サンドビック】

マシニングセンター「タテガタ」「ヨコガタ」漢字表記の正解は?【雑学】

マシニングセンター「タテガタ」「ヨコガタ」漢字表記の正解は「立形」「横形」。

JISB0105:2012 工作機械―名称に関する用語には、マシニングセンタを「主として回転工具を使用し,フライス削り,中ぐり,穴あけ及びねじ立てを含む複数の切削加工ができ,かつ,加工プログラムに従って工具を自動交換できる数値制御工作機械。注記機械の構造によって,主軸が水平の横形,及び垂直の立て形がある。 」と定義している。
工作機械大手のマザック、DMG、オークマのHPの表記も「立形マシニングセンタ」、「横形マシニングセンタ」。
※立型、縦形、縦型、竪形、竪型、横型、は誤り。

転造タップとは

転造タップとは

転造タップとは、めねじを加工する工具。
切削タップに対して「非切削タップ」、転造(rolling)から「ロールタップ」、塑性加工であることから「盛上げタップ」、切りくず排出用の溝が不要なことから「溝なしタップ」とも呼ばれる。英語圏では「Forming Tap」の表現が一般的。

転造タップのメリット

・切りくずが発生しない(切りくずトラブルがない)。特に切りくずが伸びやすいSS材、SUS材、アルミ材に有効。
・心厚が大きいため折れにくい。特に折損トラブルの多い小径タップでメリット大きい。
・刃欠けしないため長寿命(切削タップの2~3倍)
・高速加工が可能で加工時間が短縮
・めねじの表面粗さが良好
・めねじ強度が高い

転造タップのデメリット

・切削タップと比較して加工トルクが2~3倍。機械の馬力が必要。
・被加工材は展延性のある材料限定。炭素鋼、ステンレス鋼、アルミニウム等が適する。鋳鉄、HRC40以上の高硬度鋼は適さない。
・切削タップと比較してシビアな下穴径管理が必要。例えばM6×1のロールタップ加工では、公差±0.025mm程度の下穴管理が求められる(切削タップの場合は、公差±0.1mm程度)。
・切削タップと比較して端面のかえりが大きい。タップ加工前に面取りが必要。

転造タップの下穴径

転造タップの形状や被加工材によってねじの盛り上がり方が異なるため、各メーカーで推奨の下穴径が異なる。
下穴径一覧表【OSG】
転造タップの下穴径表【田野井】
下穴径・素材径表【YAMAWA】
総合カタログ【不二越】

切削タップ、転造タップ、スレッドミルの使い分け

めねじ加工する工具の使い分け。
切削タップが最も一般的で汎用的。
転造タップは切りくずトラブルへの対策に有効。高寿命・高速加工が可能で、自動加工・量産向き。
スレッドミルは加工負荷が低いため、高硬度材加工や太径加工に有効。価格と加工速度がネック。

切削タップ 転造タップ スレッドミル
加工機 ボール盤
旋盤
マシニング
旋盤
マシニング
マシニング
向いているタップ径 汎用的 細径 太径
向いている被削材 汎用的 SS材、SUS材、アルミ材 高硬度材
加工速度
寿命
切りくずトラブル ◎なし
下穴管理 ×重要
加工面
価格
加工負荷(トルク) ×高い ◎低い

解説動画

ロールタップとは【YAMAWA】

タップにありがちな悩みは転造タップで解決!【なんとか重工】

ブラザー「S1000X1」でM3(SUS304)、M8(SS400)、M12(S50C)を転造タップ加工。

ロールタップでいろいろな材質にタップをたててみました【drill brothers】

ボール盤でM8(鉄、アルミ、真鍮、ステンレス)を転造タップ加工。

各メーカー製品の特徴

ロールタップシリーズ【YAMAWA】

→製品情報詳細【カタログ】

盛上げタップ【不二越】


→製品情報詳細【カタログ】

転造タップの下穴加工

高精度な下穴を加工するには、ハイスドリルよりも高精度な超硬ドリル(バニシング刃付など)が適している。

ロールタップ下穴用ストライクドリル【ダイジェット工業】


→製品情報詳細【カタログ】

転造タップ用NVドリル【ニチアロイ】


→製品情報詳細【カタログ】

転造タップの面取り加工

転造タップのデメリットとして端面のかえりが大きいため、かえりの発生を防ぐためにはタップ加工前に面取り(60°が最適)が必要。

参考
技術の玉手箱 / 溝なしタップの面取り【OSG】
ロールタップ加工めねじ入口のかえり・ばり対策【YAMAWA】

参考リンク

ロールタップの特長と留意点【YAMAWA】
ロールタップの使用法-1【YAMAWA】
ロールタップの使用法-2【YAMAWA】
ロールタップの使用法-3【YAMAWA】
ロールタップで折損解決【YAMAWA】
ロールタップの下穴径算出について【YAMAWA】
転造タップとは【OSG】
盛上げタップ(非切削タップ)【モノタロウ】
転造タップ採用におけるコストダウンの可能性について【三栄製作所】
タフレットシリーズ特徴【不二越】
転造タップ(転造タップ)の加工手順【OSG】
[切削工具]スレッドミルとは?タップ加工との違いを解説【生産技術の森】
切りくずゼロで生産性向上!転造タップ【山善】

超硬工具メーカーの価格改定情報【リンク集】

超硬工具メーカーの価格改定情報まとめ

三菱マテリアル株式会社

2022年10月1日受注分~弊社DIAEDGE製品の国内価格改定について【三菱】
2025年10月1日受注分~当社製品の価格改定について【三菱】
2026年6月1日受注分~日本国内向け 当社製品の価格改定について【三菱】

住友電工ハードメタル株式会社

2018年4月1日受注分~超硬工具製品の価格改定について【住友】
2022年7月1日受注分~切削工具製品の価格改定について【住友】
2024年7月1日受注分~ハードメタル事業部の製品価格改定について【住友】
2026年1月1日受注分~ハードメタル事業の製品価格改定について【住友】
2026年6月1日受注分~ハードメタル事業の製品価格改定について【住友】

京セラ株式会社

2024年9月30日受注分~切削工具 価格改定のご案内【京セラ】
2026年3月30日受注分~切削工具 価格改定のご案内【京セラ】
2026年6月15日受注分~切削工具 価格改定のご案内【京セラ】

株式会社タンガロイ

2022年10月1日受注分~価格改定のご案内【タンガロイ】
2024年10月1日受注分~価格改定のご案内【タンガロイ】
2026年4月1日受注分~価格改定のご案内【タンガロイ】
2026年6月1日受注分~価格改定のご案内【タンガロイ】

オーエスジー株式会社

2022年8月22日受注分~一部製品 価格改定のご案内【OSG】
2024年11月18日受注分~価格改定のご案内【OSG】
2025年12月1日受注分~価格改定のご案内【OSG】

株式会社MOLDINO

2022年10月3日受注分~価格改定のご連絡【MOLDINO】
2024年12月2日受注分~価格改定のご連絡【MOLDINO】
2026年2月2日受注分~価格改定のご連絡【MOLDINO】
2026年6月8日受注分~価格改定のご案内【MOLDINO】

株式会社不二越

2022年8月1日出荷分~工具価格改定のご案内【不二越】
2023年2月1日出荷分~ハイスドリル一部製品の価格改定のご案内【不二越】
2023年8月1日出荷分~工具価格改定のご案内【不二越】
2025年7月1日出荷分~工具価格改定のご案内【不二越】
2026年5月1日受注分~工具価格改定のご案内【不二越】

日進工具株式会社

2018年11月1日受注分~価格改定のご案内【日進工具】
2022年11月1日受注分~価格改定のご案内【日進工具】

ダイジェット工業株式会社

2025年4月1日受注分~価格改定のお知らせ【ダイジェット工業】
2026年3月1日受注分~価格改定のお知らせ【ダイジェット工業】
2026年6月15日受注分~価格改定のお知らせ【ダイジェット工業】

ユニオンツール株式会社

2026年3月1日受注分~PCB工具価格改定のご案内【ユニオンツール】

NTKカッティングツールズ株式会社

2026年4月1日受注分~価格改定のご案内【NTK】
2026年6月1日受注分~価格改定のご案内【NTK】

理研製鋼株式会社

2026年5月1日受注分~ドリル製品価格改定のご案内【理研】

株式会社田野井製作所

2026年4月1日受注分~価格改定のご案内【田野井】

株式会社栄工舎

2025年11月1日受注分~価格改訂について【栄工舎】

協和精工株式会社

2025年6月1日受注分~弊社製品価格改定のお知らせ【協和精工】

株式会社ジーネット

2026年1月5日受注分~超硬切削工具価格改定のご案内【ジーネット】

エムーゲ・フランケン株式会社

2026年4月20日受注分~超硬製特殊品の材料サーチャージ制導入について